退職金を受け取った人が失敗しないためには?


退職金とは、退職する際に支払われるお金のことです。
勤続年数や役職によって支払われる金額も変わってきます。
退職後、まとまったお金を資産運用に回そうとお考えの方も多いかと思いますが
退職金は老後の生活を送る上でとても大切なお金です。間違った運用をしてしまい老後の資金が減ってしまっては大問題。
こうした失敗をしないために、退職金の資産運用の失敗例について詳しく見ていきましょう。

 

 

 

退職金の資産運用の注意点①

■知識が無い状態で資産運用をはじめる
どうしてもまとまったお金がある時は気持ちも大きくなりがちです。
退職金を増やしたい、投資で儲けたい、資産運用をしたい、などチャレンジする事はとても良いことですが、十分な知識を持たずに資産運用を行うことは、せっかく稼いだ退職金を失ってしまう可能性があります。
銀行をはじめとする金融機関は、大金を抱えた投資初心者を探しています。
金融機関が儲かる(利用者が損をする)金融商品に大金を投じてしまってからでは遅いのです。
退職後すぐに資産運用せずとも、何年か勉強してから始めてみても遅くはありません。また、退職前から使い道を考えておく事も間違った資産運用を回避するには良いかもしれません。
また資産運用は考えていなくても、思ったより使ってしまったなどの失敗例は多く、老後資金の使い方には計画性が大切です。

退職金の資産運用の注意点②

それでは銀行などですすめられる金融商品と注意点をご説明いたします。

■銀行などで紹介される注意が必要な金融商品
・退職金専用定期預金
・投資信託
・外貨建て保険

退職金専用定期預金とは、退職金受け取り後1年以内に申し込む必要がある特別な定期預金です。通常の定期預金よりもかなり高めの金利設定となっている場合が多く、投資信託との併用によりさらに高金利を売りにしています。しかし、優遇金利期間は3ヵ月など、短期間の限定的なものがほとんどです。

また、銀行で販売される投資信託は、購入手数料や信託報酬などのコストが割高なため、おすすめできません。もちろん、投資信託の運用にはリスクが伴いますので、元本割れの可能性もあります。

続いて、外貨建て保険についてです。
外貨建て保険とは支払った保険料が外貨で運用される保険の事で、満期保険金や解約返戻金なども外貨で受け取ります。
外貨建て保険には円での元本保証がなく、為替レートの変動によって元本割れのリスクがあります。また、受け取った外貨を円に交換する場合にも手数料がかかります。外貨建て保険が悪いのではなく、その商品内容をよくわからないまま銀行だから安心感があり、悪いものではないだろう・・・という油断は禁物です。勧められた際にはよく検討する必要があります。

ようやく全面的に販売禁止となった「仕組み債」の中でも、個別銘柄に連動するEB債は、10年前にも問題となったものの、なかなかメスが入らない金融商品でした。最近ではAT1債という複雑な仕組みの社債が紙くずとなり、駅伝マラソンで有名な監督も銀行で勧められ、大損失されたようです。

 

退職金はどう活用する?

 


■退職金の資産運用は控える
そもそも退職金の資産運用は運用期間がとても短いため短期間で儲けを出す事が必須となります。短期間で成果を出すにはリスクも伴うため資産運用の未経験者にはあまりおすすめは出来ません。
投資初心者が一度に大金を運用すると、少しの価格の上がり下がりに一喜一憂してしまい、せっかくの自由な老後生活に心配の種を生じさせる結果になりかねません。投資初心者が、資産が仮にマイナスになった場合、「狼狽売り」してしまうのがほとんど。自分が受け入れられる「リスク」をまずは知る必要があります。

そこでおすすめするのが、退職金を年金代わりに生活費に充当し、公的年金の受給を繰り下げるやり方です。
公的年金の繰り下げ受給制度を活用する事で、少しでも年金を増やす事が出来たとしたら、リスクのある資産運用よりも安心で確実ではないでしょうか?


公的年金の繰り下げとは?


公的年金の繰り下げとはどんな制度なのか詳しく見ていきましょう。
通常、65歳から給付が受けられる公的年金ですが、受給を1年遅らせると約8%もの年金額の増額を受けることができます。
そして最大10年(75歳まで)の繰り下げが可能で、10年繰り下げた場合は、約80%もの増額を受けることができます。
さらに、増額された年金は終身まで受給することが可能ですので、老後の心配はもはやありません。

もしこれが金融商品だとしたら…
このような利率の良い、元本保証の商品は他にはないのではないでしょうか。

 

 

公的年金の繰り下げの方法について

 

公的年金の繰り下げ申請の方法や注意点について見ていきましょう。
公的年金を受け取る事が出来るのは65歳からとなっています。
繰り下げを行うには65歳になり公的年金を受け取る権利を得てからさらに1年を経過した日を過ぎて、ようやく請求をすることが出来ます。
申請の際は、お近くの年金事務所または街角の年金相談センターで手続きを行います。

 

公的年金の繰り下げの注意点


繰り下げ請求には注意点もあります。
66歳以前より繰り下げ請求を申請することは出来ません。
また、手続きを行った時点で繰下げ増額率が決まりますので、手続きをする時期にご注意ください。

公的年金も老後の人生には欠かせない重要な資金です。
65歳到達時に退職金などの資金的余裕があるならば、年金を受け取らず繰り下げを検討するのもよいかと思います。
無理に退職金を資産運用して失敗のリスクを上げるよりも、公的年金繰り下げの間のつなぎ資金として消費することが最も効率的ではないでしょうか。

この機会に今一度、ご自身にあった退職金の活用法を考えてみましょう。