人生100年時代と言われています。つまりセカンドライフは20年~30年間あります。
受けとった退職金をどう使い、どう運用すればいいのか?
そもそも退職金を受けとる際に、年金で受けとったほうが良いのか、一括で受け取ったほうが良いのか?
いろいろと迷うところです。退職後の生活についても、何をするかしたいかと同じくらい、お金についてもきちんと計画を立てておく必要があります。退職を迎える前に、知っておきたいこと、調べておきたいこと、準備しておきたいことなど、計画したいことなどをお話したいと思います。
退職金(退職給付)とは
退職する際に、雇い主などから退職者に支給される金銭。多くは一時金ですが、年金形式のときもあります。
<受け取りのパターン>
・一時金受取
・一時金+年金受け取り
・年金受け取り
一時金受取のメリットは?
非課税枠、退職所得控除が使うことができ、これは給料や年金と別に計算されるため(分離課税)一時金として受け取ったとしても、社会保険料の支払いが増える心配なし。つまり税金や社会保険料が年金受け取りよりも安くなります。
一時金+年金受け取りのメリットは?
一時金ですべて受け取ると老後生活資金として運用しながら使うのが難しいですが、一部決められた年金形式で受け取ると老後資金の生活の見通しが立てやすくなります。
税金優遇に注目し一時金で受け取り、殖やそうと試みて、失敗し青ざめてご相談に来られる方もいらっしゃいます。思った以上に、資産運用は難しいですね。
年金受け取りのメリットは?
企業や退職金の金額によりますが、年金を終身もしくは80歳まで、長期にわたり受け取ることが可能なため、計画的に退職金を投資に使うことなく、老後の生活資金に充てることができます。当然退職控除ほどの税のメリットはありませんが、資産運用で失敗し退職金があっと今に三分の一に・・・(リーマンショック)になることはありません。
基本的な支給方法・・・いつもらえるの?
一般的には退職から1~2ヵ月後に支払われることが多いようです。
この退職金がいつもらえるかについては、就業規則の退職金規則に記載されています。
人事または総務に確認しましょう。
退職金の受け取り方法、一時金・年金どっちがオトク?
結論
「一時金受取り」のほうがオトクです。(税金・社会保険の面で)
理由その1・・・退職所得は非課税部分があるから税金が少なくて済む
退職金の一時金受取は「退職所得」。
給与所得や不動産所得があったとしても合算されず、区分して退職金だけで税金の計算がされます。(分離課税)
しかも、受け取った退職金がそのまま課税の対象になるわけでなく、退職金から退職所得控除を差し引いた金額の2分の1が課税対象となります。
算出式・・・・(退職金-退職所得控除額)×1/2=退職所得金額(課税対象金額)
※勤続5年以下の役員は1/2はなし
※退職所得控除の計算方法
勤続20年以下の場合→40万円×勤続年数
勤続20年以上の場合→500万円+70万年×(勤続年数-20年)
※勤続年数の1年未満の場合は切り上げ
3100万円受け取った場合の税金は?
勤続37年6カ月勤務した会社員Aさんが退職金3100万円を受け取りました。
支払う税金は、所得税・復興所得税が62万5362円 住民税52万円
総額114万5362円
退職所得控除額=勤続37年6カ月は38年として計算→800万円+70万円×(38年-20年)=2060万円
退職所得金額=(3100万円-2060万円)×½=520万円
所得税額=520万円×20%-427500円=61万2500円
A 課税退職所得金額 | B 税率 | C 控除額 |
---|---|---|
1,000円から1,949,000円まで | 5% | 0円 |
1,950,000円から3,299,000円まで | 10% | 97,500円 |
3,300,000円から6,949,000円まで | 20% | 427,500円 |
6,950,000円から8,999,000円まで | 23% | 636,000円 |
9,000,000円から17,999,000円まで | 33% | 1,536,000円 |
18,000,000円から39,999,000円まで | 40% | 2,796,000円 |
40,000,000円以上 | 45% | 4,796,000円 |
所得税・復興所得税の額=61万2500円+61万2500円×2.1%=62万5362円(1円未満切り捨て)
住民税=退職所得金額×10%
=520万円×10%
=52万円
理由その2・・・年金受け取りにすると、総所得が上がり、健康保険料と所得税が増えるから
事例・・・65歳で公的年金収入260万円/年の場合、260万円×100%-120万円=140万円(雑所得)
退職金を年金形式で受け取る場合この金額にプラス所得金額(雑所得)が加算され
全体の課税対象金額が増えることになります。
※年金受け取りする場合の計算式(原則)
年金受取額-年金受取額×支払保険料/年金受取総額(見込み)=所得金額
つまり、退職金を年金形式で受け取ると課税対象金額が増え、所得税や住民税、場合によっては国民健康保険料も増えることになります。
退職金の相場はいくらぐらい?
2019年版、退職金の相場について
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退職金がない場合の対策は?