ファイナンシャルプランナーの山下です。先日、テレビ番組「Nスタ」の特集にて、日々の小さな出費が将来の資産に与える影響、いわゆる「ラテマネー」について監修を務めさせていただきました。物価の上昇や将来への漠然とした不安から、資産形成への関心が高まる今、このテーマは非常に重要です。

このブログ記事では、番組でご紹介した要点を深掘りし、皆さまが今日から実践できる資産形成のヒントを分かりやすく解説していきます。

「ラテマネー」とは?

「ラテマネー」とは、一言で言うと「優先順位の低い小さな出費」のことです。

例えば、出勤前に何気なく買う一杯のコーヒーや、コンビニでつい手に取ってしまうお菓子や飲み物などがこれにあたります。一つひとつは数百円の少額な支出ですが、意識せずに毎日繰り返していると、1ヶ月、1年という単位で見たときには、知らず知らずのうちに大きな金額になっている可能性があるのです。

「ちりも積もれば…」ラテマネーが将来大きな資産になるシミュレーション

では、この「ラテマネー」をもし投資に回したら、将来どれほどの資産になるのでしょうか。番組で紹介したシミュレーションを見てみましょう。

1日500円のラテマネーは、週5日とすると1週間で2,500円、1ヶ月(4週間)では10,000円になります。この金額を投資の元手とします。

• 前提条件

    ◦ 1日のラテマネー:500円(週5日)

    ◦ 1ヶ月の投資額:10,000円

    ◦ 運用期間:40年間

    ◦ 想定利回り:年3%(複利で運用、税金・手数料は考慮せず)

• シミュレーション結果

    ◦ 40年後の資産額:920万円

これは、投資で得た利益がさらに利益を生む「複利」の力を40年という長期間にわたって活用した結果です。この920万円という金額は、近年「老後2000万円問題」として広く知られるようになった、一般的な必要資金額のおよそ半分に相当します。日々の500円が、これだけ大きな資産に育つ可能性を秘めているのです。

日々の幸せか、将来への投資か

もちろん、日々の小さな出費をすべて悪者扱いする必要はありません。仕事の合間に飲む一杯のコーヒーが気分転換になったり、ストレスを和らげてくれたりするのなら、それは心の健康にとって価値のあるお金の使い方です。

大切なのは、その出費が自分にとってどのような意味を持つのかを意識することです。例えば、その日のコーヒーが仕事のパフォーマンスを上げるのであれば、それは「自己投資」と言えるかもしれません。重要なのは、その出費が単なる「浪費」なのか、価値ある「消費」や「投資」なのかを自分で判断する意識を持つことです。すべてを我慢するのではなく、意識を少し変えるだけで、無理なく資産形成への一歩を踏み出すことができます。

まとめ:まずは自分の「ラテマネー」を見つけることから始めよう

このテーマの要点は、無理な節約や我慢を強いることではなく、自分のお金の使い道を意識し、コントロールすることにあります。

まずは、ご自身の生活の中にどのような「ラテマネー」が隠れているかを見つけることから始めてみましょう。番組でも紹介された、簡単な方法を2つご紹介します。

• レシートを見直す: 1日の終わりにレシートを確認し、そこに並ぶ品々が本当に必要だったかを振り返ってみましょう。本当は不要だったかな?と思うものをラインマーカーし、電卓をたたいてみると愕然とする場合も。。。

• 部屋を掃除する: 片付けをしていると、「こんなものを買っていたのか」と、使っていない物や衝動買いした物を発見することがあります。「たんすの肥やし」とはよく言ったもので、使わないものは、おそらく今後も出番はないかも?思い切って捨てると、そのスペースには今度は必要なものが置かれるでしょう。

こうした簡単な行動が、無意識の出費に気づくきっかけになります。ぜひ、ご自身の「ラテマネー」を見つけ出し、賢く将来の資産形成につなげていきましょう。