もしも、1億円相続財産があるといくら税金を払う必要があるのか?相続税の計算方法を知る!

うちは、大した財産もないから、相続税の心配なんか必要ない!という方も、多分相続税を払う必要がないという方も、一度確認してみましょう!
ちなみに、相続税とは、亡くなった人の財産を相続・遺贈によって取得する際にかかる税金です。実は相続税がかかるのは100人中4~5人といわれており、相続税の申告手続きは必ずしもすべての相続人が対象ではありません。ですが、相続時の税金額はどのように決まるのかはわからないという方も多いですよね。

今回は相続税の税金額についてご紹介いたします。

相続税申告が必要な方とは

相続税申告とは、基礎控除額以上の遺産を相続した相続人が行う手続きのことを指します。
相続日の翌日から10ヶ月以内に、被相続人の住所地を所轄する税務署に申告書を提出し、同期間内に納税する必要があります。

相続税の申告義務が発生するのは、基本的に被相続人の「遺産総額」が「基礎控除額」を超える場合です。

被相続人から相続などによって財産を取得した人それぞれの課税価格の合計額が、遺産に係る基礎控除額を超える場合、その財産を取得した人は、相続税の申告をする必要があります。

つまり、申告義務の可否は、ご自身が受け取る遺産が基礎控除額を超えるかどうかではなく、家族全員で受け取る遺産総額が基礎控除を超えるかが基準となるのです。

被相続人の遺産総額が基礎控除額を上回ると相続税の申告義務があり、逆に遺産総額が基礎控除を下回ると相続税の申告義務はありません。

ただし、自宅や事業用の「小規模宅地の減額特例」や「配偶者の税額軽減」を受ける為には申告が必要ですのでご注意ください。

遺産額について

遺産額とは、土地・建物や預金等の財産から借入金や未払金等の債務を引いたものです。※生命保険金や死亡退職金の場合はそれぞれ非課税限度額を超えた分が加算されます。

遺産相続した人で被相続人から直近3年以内に生前贈与を受けていた場合や「相続時精算課税贈与」を受けていた場合は、それらの生前贈与分を遺産に加算する必要があります。

一定金額を超えなければ相続税はかかりません

相続税は、相続財産が3,600万円以下の場合は一切かかりません。
なぜなら、一定の金額以下であれば相続税が一切かからない「基礎控除」があるからです。
また、相続する財産の総額が3,600万円以下であれば相続税の申告の必要もありません。

基礎控除の金額を求める計算式は、 3,000万円+(法定相続人の数×600万円) です。
気になる方は計算してみてくださいね。

1億円の相続財産の場合、どうなる?


1億円の相続財産が発生した場合、どのような計算で相続税が算出されるのかシミュレーションしてみましょう。

【例】法定相続人  妻・子供2人の場合
現金・預金・株式  7,000万円
土地        1,000万円
建物         500万円
生命保険金     2,500万円
総遺産額    1億1,000万円
借入金        ▲0万円
葬式費用      ▲200万円
課税価格     1億 800万円

① まずは、先程ご紹介した「3,000万円+(法定相続人の数×600万円)」の計算式に
当てはめて基礎控除額を計算しましょう。
3,000万+600万×3人=4,800万円、基礎控除額は4,800万円となります。

② 次に、課税遺産総額の計算ですが、「正遺産額 ― 基礎控除額」が課税遺産総額となります。
1億800万円-4,800万円(基礎控除額:3,000万円+600万円×3)=6,000万円、課税遺産総額は6,000万円です。

③ そして、この課税遺産総額を法定相続分で分割したものと想定して、相続税の総額を計算します。
妻   6,000万円×1/2=3,000万円
長女  6,000万円×1/4=1,500万円
長男  6,000万円×1/4=1,500万円

課税価額が3,000万円以下の場合は税率が15%です。
相続税額を計算すると、下記のとおりとなります。

妻   3,000万円×15%―50万円(速算控除額)=400万円
長女  1,500万円×15%―50万円(速算控除額)=175万円
長男  1,500万円×15%―50万円(速算控除額)=175万円

相続税は妻400万円+長女175万円+長男175万円、総額750万円となります。

④ 最後に、相続税の総額をもとに各人の相続税額を計算します。

たとえば、実際の相続割合が妻60%、長女20%、長男20%だった場合、
相続税の総額は 750万円と変わりませんが、各相続人の負担する相続税額が変わります。

相続割合を妻60%、子20%、子20%にした場合の相続税額
妻   750万円×60%=450万円
長女  750万円×20%=150万円
長男  750万円×20%=150万円
「配偶者の税額軽減の特例」等、税額控除が該当する場合には差し引きます。

最後に

仮に相続する財産が3,600万円を超えている場合でも、下記の状況であれば相続税を非課税にできる可能性があります。

・被相続人の配偶者である場合
・相続税がかからない非課税財産を相続する場合
・相続人が未成年もしくは、障害者である場合

相続税の節税対策は専門知識が必要になるため、本来支払う必要のない相続税を支払ってしまうと損をする可能性があり、知識のない人が行うことは非常に危険です。

節税対策をしたい方は、相続税に詳しい専門家へ相談しましょう。お知り合いの税理士さんが相続税に詳しい「資産税」のエキスパートでないかもしれません。また土地、畑、山林、ビル、マンション、などの不動産が相続財産に含まれている場合、その資産評価はさらにハードルが高くなります。「餅は餅屋」といいますように、相続を専門としている税理士さんに相談した方が後々苦労しなくて済みます。多めに間違って相続税を納税しても、国は教えてくれませんから・・・。