上場企業の2015年1~6月の自社株買いは、
前年比35%増の1兆5690億円と
金融危機前の2008年以降で
最も高い水準となりました。
金融、ゲーム、小売りなど
実施企業も大幅に増えました。
企業が市場で流通している
自社の株式を買い取ると(自社株買い)、
需給が引き締まるので
株価を支える効果があります。
また、市場の株式を減らせば
1株当たりの利益が高まるため、
資本効率を示す指標の一つである
自己資本利益率(ROE)
の改善にもつながります。
従って、株主に直接現金を支払う
配当と自社株買いの合計額が、
純利益に占める割合を示す
「総還元性向」を
株主還元の指標に掲げる企業が増えています。
取得額が大きかったのは、
NTTドコモが1330億円、
三菱UFJフィナンシャル・グループが1000億円、
野村ホールディングスが562億円などとなっています。
海外投資家を中心に
株主から手元資金の活用策を
厳しく問われ始めたほか、
アメリカの議決権行使助言大手が
「ROEが一定基準以下の企業の
トップの選任に反対を推奨する方針」
を示すなどROEへの注目度が高まっています。
トヨタ自動車は、
個人向けの新型種類株発行後に
株主価値が希薄化するのを抑える狙いから、
総額9000億円を上限に自社株買いの
計画を公表しています。
今後は、
ROEなど資本効率の改善に向けて、
自社株買いを実施する企業が
さらに増えることが予想されます。