住宅ローン四天王のコラム今月は「三大疾病住宅ローン」についてです。


もし、住宅ローンを支払っている最中にしばらくして、がんになったら・・・心筋梗塞になったら・・・そのときどうする??

万が一の場合、団体生命保険に加入していれば、住宅ローンの残債はチャラになりますが、
困るのは、重い病気で失業してしまった、住宅ローンの支払いに困ったという場合に、それをカバーするものとして、各銀行で独自で「疾病付住宅ローン」が発売されています。

<主な疾病付住宅ローン>


〇 三大疾病付機構団信(住宅金融支援機構)

<保証内容>
債務者が高度障害、死亡した以外に、三大疾病(がん・急性心筋梗塞・脳卒中)にかかり、所定の条件に合致した場合、住宅ローン債務を相殺してくれるもの。

がん・・・悪性新生物と診断確定した場合。 
上皮内がんや皮膚の悪性黒色腫以外の皮膚がんは含まれません。

急性心筋梗塞・・・保障開始日以後の疾病を原因として、保険期間中に、急性心筋梗塞を発病し、その急性心筋梗塞により初めて医師の診療を受けた日からその日を含めて60日以上、労働の制限を必要とする状態(軽い家事等の軽労働や事務等の座業はできるが、それ以上の活動では制限を必要とする状態)が継続したと医師によって診断されたとき


脳卒中・・・保障開始日以後の疾病を原因として、保険期間中に、脳卒中を発病し、その脳卒中により初めて医師の診療を受けた日からその日を含めて60日以上、言語障害、運動失調、麻痺等の他覚的な神経学的後遺症が継続したと医師によって診断されたとき

<保険料>

3000万円を3%(固定金利)35年(繰り上げ返済ナシ)の場合三大疾病付団体生命保険の総額は、3,416,700円
※ちなみに三大疾病特約を付加しない団信保険料は総額で2,236,200円、つまり三大疾病特約保険料の総額は1,180,500円となります。
<注意点>

三大疾病付団信と三大疾病特約がない通常の団信、いずれも一度選択すると変更できない。
団信保険料は、経済情勢にあわせ変更(値上げ)の可能性もあります。


〇 三大疾病ワイド保証型+5 (三井住友銀行)

<保証内容>

上記、住宅支援機構と同様、三大疾病で所定の状態となったとき
と高血圧症・糖尿病・慢性腎不全・肝硬変・慢性膵(すい)炎となり就労不能が13ヶ月継続した場合、住宅ローン債務を相殺。

<保険料>

3000万円・35年返済の固定金利3%の場合、三大疾病ワイド保障型+5では、上乗せ金利が+0.3%となり3.3%が融資実効金利となります。ですので、0.3%の金利増加分を計算しますと、
三大疾病ワイド保障型+5の総額は2,134,020円となります。

※ちなみにがんと診断された場合のみ、住宅ローン債務が相殺されるもタイプの場合、上乗せ金利は0.2%です。3000万円・35年返済の固定金利3.0%では3.2%となり、総保険料は1417080円です。

<注意点>
がんの場合、上皮内新生物(転移性なし)では、該当しませんし、また、5つの重大な病気は可能性がなんとなくありそうですが、就労不能13ヶ月とは、ほぼ寝たきりに近い状態でしょう。
住宅ローンを完済し終わるころ、これらの疾病にかかるリスクが高くなることから、住宅ローンが相殺される可能性とその保険料(コスト)を比較・検討しましょう。

〇七大疾病付住宅ローン (三菱東京UFJ銀行)

<保障内容>

住宅支援機構と同様、三大疾病で所定の状態となったとき
と高血圧症・糖尿病・慢性腎不全・肝硬変となり、就労不能が30日継続した場合、31日目から住宅ローン返済金額が最長1年間にわたり、支払われる。
また、上記七大疾病で就労不能が1年間継続した場合には、住宅ローン債務が保険金で相殺され、住宅ローン残高はゼロとなる。

<保険料>

住宅金融支援機構や三井住友銀行と異なり、保険料は金利上乗せでなく、加入者の年齢にと住宅ローン残債によって決定される。保険料が5年ごとに値上がりするという更新タイプ。3000万円・35年返済の固定金利3%の場合で35歳の男性で、概算で127万円。
詳細は窓口または、こちらをご参考に
<注意点>

七大疾病にかかって、いかなる就労もできない状態にならないと適用されない(免責30日)ため住宅ローン返済金相当額のサポートを受けることは、相当きびしい条件です。
また、保険料が5年ごとにアップし、ローン残債に対して計算されるため、変動金利や選択型固定金利では、保険料の総額は最後までわかりません。
最初は保険料が安いのでおまけ的な感覚で申し込む方もいらっしゃいますが、年齢を重ねると保険料自体は更新していくこと、まったく就労不能の状態にならないと支払い条件に適用されないことなどに注意しましょう。


〇8疾病保障特約 (SBI住宅ローン)

<保障内容>
8疾病(三大疾病+高血圧症・糖尿病・慢性腎不全・肝硬変・慢性膵(すい)炎)により就業不能状態となり、ローン約定返済日まで継続した場合、月々のローン返済相当額(ボーナス払い分も含む)の就業不能信用費用保険金(住宅ローン返済金額)が最長12ヶ月間支払われます。
また、就業不能状態が12ヶ月間を超えて継続した場合は、12ヶ月経過時点のローン債務残高相当分の債務繰上返済支援保険金が支払われます。
さらに、保障開始日以降に病気やケガにより入院した場合、就業不能時入院費用保険金10万円が一時金として支払われます。

<保険料>

申し込みをした加入年齢・・・45歳以下、45歳~55歳まで、56歳以上 の3つの区分で
保険料自体は固定。住宅ローン債務に応じて年払い。

例)融資金額2,500万円、融資実行時点で40歳の年間特約料は、600×2,500(万円)÷100(万円)+9,000円=24,000円です。次年度は住宅ローン債務(100万円につき600円+9000円)が、保険料として計算されます。

<注意点>

就労不能になってから、三菱UFJのように30日の免責期間はないので、住宅ローン返済金を受け取る場合は、こちらのほうが有利でしょう。
また三井住友のように、一度このような特約を付加すると途中解約はできませんが、SBIの場合は、途中で解約できます。(再加入はできませんが)


〇リストラなど失業保障特約(SBI住宅ローン)

<保障内容>
住宅ローン申込人が、保障の開始日以降に、非自発的失業状態におちいり、その状態が継続し、ローンの返済日が到来した場合、最長6ヶ月(保障期間を通算して36ヶ月)を限度として毎月のローン返済額に充当するための保険金が支払われます。
<保険料>
融資金額100万円に対し年齢に関係なく、800円。融資金額2500万円の場合、年払い保険料20000円
<注意点>
正社員のみ対象。疾病・ケガでの就労不能は該当しません。
住宅ローン支払い期間のうち、36ヶ月(3年)この保険の適用を受けると終了します。
1回の支払いは、住宅ローン6ヶ月分ですので、リストラを6回繰り返しますとこの保険は終了します。


<最後に>

疾病付住宅ローンは、金利に上乗せされていたり、保険料が年齢とともに、アップするものがあったり、支払う保険料を勘案すると、なかなか「これだ!」という決め手がありません。ただ病気やリストラになって住宅ローンが支払えなくなるということは、長い返済計画の中では、最大のリスクです。
住宅が奪われるという最悪の状態を避けるためにも、まさかのときはどうするのか、
しっかり考えておきましょう。