皆さんは贈与税という税金をご存じでしょうか。

「お金の贈与=身内に何か不幸があったときにあるお金のやり取り」というイメージをもっている方が多いかと思います。しかし、お金の贈与というのは「お金の受け渡し」そのものを指します。このお金の受け渡しが110万円以上であった場合に発生する税金のことを贈与税といいます。

贈与税は必ず申告を

この贈与税、税務署はどのようにして贈与があったことを把握するのでしょうか。

税務署といえど、全ての人のお金の動きを事細かにチェックすることはできません。実はそのために、税務署が贈与税を把握するいくつかのルートがあるのです。

黙っていればバレない、は通用しませんので贈与が発生した際は必ず申告をしましょう。

税務署が贈与があったことを把握するルート

相続税に関する税務調査が行われた場合

マイホームを購入した場合

生命保険が入金された場合

今回は、この3つのルートについてご紹介していきます。

相続に関する税務調査が行われた場合

身内に不幸があった場合、税務署の調査官は送られてきた相続税の申告を見て、怪しい箇所があると税務調査に入ります。その際、亡くなられた方やそのご親族の、過去10年分の通帳が調査対象となります。

調査官はその取引記録に基づいて、亡くなられた方から多額の出金があるかどうか、またその送金先は誰であるのかを調査します。さらに親族の預金口座の残高が、過去の所得や収入に比べて多かった場合には、その資金元が亡くなられた方かどうかまで詳細に調査します。現在、このような相続に関する税務調査の際に、贈与の事実が発覚されるケースが最も多くなっています。

その場合のペナルティーです。

無申告加算税

無申告加算税は、期限内に申告しなかった場合に課される税です。通常、納付すべき税額の10%が加算されます。ただし、税務署からの指摘を受ける前に自主的に申告した場合は5%に軽減されることがあります。

延滞税

延滞税は、本来の納期限から遅れて納付した場合に課される利息のようなものです。税率は毎年変動しますが、一般的には年利14.6%(ただし特定期間内は7.3%)です。

重加算税

重加算税は、意図的に税を逃れようとした場合に課される重いペナルティーです。無申告加算税や過少申告加算税に加えて、納付すべき税額の35%(過少申告の場合)または40%(無申告の場合)が加算されます。

いずれにしても、「重い税金」がかかりますので、贈与をされたら、申告する必要のあるものか?必ず確認し、贈与税0円としても(110万円贈与、教育資金贈与、住宅購入資金贈与、相続時精算課税制度利用の場合でも)届け出を失念しないなど、不備のないようにしましょう。

マイホームを購入した場合

妻が夫の扶養に入っているご夫婦がマイホームを購入した場合を例に見てみましょう。

この夫婦は4,000万円の新築物件を購入し、夫が全額支払いました。

物件が完成したとき、夫婦2人のものだから所有権は半分ずつにと、謄本の所有権を「夫1/2、妻1/2」で登記しました。

支払いは夫が全額負担したにも関わらず所有権を1/2ずつで登記してしまった場合、物件価格の1/2にあたる2000万円を夫から妻へ贈与があったとみなされて、贈与税が課税されてしまいました…。

上記の例はなぜ贈与としてみなされてしまうのでしょうか?

妻が扶養に入っている場合、夫は配偶者控除を受けられます。

配偶者控除を受けるには、妻には年収103万円の壁があるはずですよね。

そのため、これを見た調査官は「扶養に入っているにもかかわらず、2,000万円という多額のお金をどうやって用意したのか?」と調査官は疑問に思うわけです。

保険金が入金された場合

例えば、父親が亡くなった時に支払われる保険金を、母親が払っていたとします。

つまり、契約者が母親、被保険者父親ということになります。この時、保険金の受取人をその子供にしていた場合、これは母親から子供へ贈与があったとみなされます。

■生命保険の受取方の例

契約者

被保険者

受取人

課税の種類

贈与税

相続税

保険会社は100万円を超える保険金が支払われた場合や、相続によって契約者が変更になる場合には、税務署に「生命保険契約に関する支払調書」を提出する義務があります。そして「生命保険契約に関する支払調書」をチェックした際に、申告していないことが発覚すれば、保険金の受取人が税務調査の対象になります。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

このくらい大丈夫だろう…と故意に申告をしなかった場合だけでなく、申告の必要を知らなかった場合でも、加算税や延滞税などのペナルティが課されてしまいます。たぶん大丈夫だろう・・・といった自己判断は後で大変なことにつながります。

こうならないために、事前に家族で話し合ったり、必要であれば専門のプロに相談するようにしましょう。

ファイナンシャルプランナーは、一般的なお話は出来ますが、ご自身の場合の、税金がかかる、かからないかかる場合はいくら?などなど個別の税務についてお答えできません。税理士さんをご紹介することも可能です。(有料相談となります)お気軽にお問合わせください