住宅ローンの借り換え、悩んでしまいますよね。
「住宅ローンの借り換えは必要?」「マイナス金利解除の影響は?」など、様々な不安があるかと思います。今回は、なぜ住宅ローンの借り換えが必要なのかについて考えていきたいと思います。
変動金利について
まず、住宅ローンの金利には「変動金利」「当初固定期間選択型」「全期間固定金利型」の3種類があります。今回はこの中から「変動金利」についてご紹介していきたいと思います。
変動金利とは、住宅ローンにかかる金利=適応金利が変動するタイプのことです。
この適応金利は、「基準金利-引き下げ幅=適応金利」という計算によって決められています。
例えば、基準金利が2.475%、引き下げ幅が2.0%とすると、適応金利は2.475-2.0=0.475%となります。ここで覚えておかなければならないことは、引き下げ幅は審査時に決定し、完済までの35年間は変わらないということで、0.475%が35年続くということではありません。
つまり、変動金利を借りた後、自分の金利が上がるのか下がるのかは「基準金利」次第ということになります。日本は、長期間、ずっと金利のない時代の中で、銀行の引き下げ幅がどんどん下がり、ここ最近の変動金利の適応金利は、どの固定金利よりも最も低くなっています。
現在の変動金利は下がっているの?
よく「現在の変動金利は下がっている」という声をお聞きしますが、変動金利が下がっているのではなく
銀行は変動金利が下がらないように、基準金利は変えずに「引き下げ幅を拡大」していったのです。
例えば、2010年に変動金利を借りた方の基準金利を2.475%、引き下げ幅を1.0%とします。先程の計算式にこれを当てはめると、適応金利=2.475-1.0=1.475%となります。そして、前述したように引き下げ幅は完済までの35年間は変わらないため、基準金利が変わらない限りこのままの適応金利になります。
次に、別の方が2020年に借りたとします。
年々引き下げ幅が拡大していることにより、基準金利は2.475%と変わりませんが、引き下げ幅が2.0%になっているとします。これを先程の計算式にこれを当てはめると、適応金利は2.475-2.0=0.475%となり、基準金利は変わらないのに適応金利が下がることが分かります。
低金利時代が続き、日銀は世の中のお金が出回るようにマイナス金利政策を継続してきました。銀行としては、日銀にお金を預けておくとマイナスになりますので、それぐらいなら、低い金利でも住宅ローン利用者に「基準金利の引き下げ幅を大きく引き下げた変動金利」として貸す・・・・この動きが銀行間での住宅ローン利用者の奪い合いとなり、熾烈な競争の結果、変動金利の引き下げ幅の拡大・・・となりどんどん変動金利の適応金利が低くくなりました。
住宅ローンの借り換えはなるべく早めに
「マイナス金利解除で金利が上がるなら、住宅ローンの借り換えはしないほうがいいのではないか…」と迷われている方もいるかと思います。しかし、この考え方は注意が必要かもしれません。
前述したように、同じ基準金利でも引き下げ幅の値によって、適応金利は良い方向にも悪い方向にも大きく変わってしまいます。仮に、基準金利が2.475%が2%上昇し4.475%となれば、引き下げ幅2.0%の場合は2.475%になります。適応金利0.475%から2.475%となり返済金額は増加します。今後、変動金利は何年たっても2%上昇するのみと決まっていれば我慢できるかもしれませんが、わからないから「変動金利」
もしも金利が上昇したら?
将来金利上昇した場合の返済増加の対応について、住宅金融支援機構 国際・調査部2023年10月住宅ローン利用者・アンケート調査では、「返済目処や資金余力があるので返済を継続する」と考えている人が3割、「繰り上げ返済(全部または一部)する」が約4割、約1割が「借り換えをする」、2割が「見当がつかなない。わからない」と回答しています。
資金余力があるから住宅ローンの返済が増えても大丈夫な方、返済金額が増えたら、「繰り上げ返済したらいいい」という方は一見大丈夫そうですが、返済金額が増えた場合、手持ち金のお金で繰り上げ返済した場合の影響について、甘く見ている可能性がある!とご指摘したいです。
返済金額3500万円、35年、変動金利0.475%が5年経過後に2.475%となれが、返済金額は9万円から12万円へ毎月3万円弱増えます。さらに5年後4.475%になれば、14.8万円となり、ローン返済スタート時から5.8万円、6万弱増えることになります。
住宅ローン返済が、3万円~増えてしまった場合の実際
最近は生命保険のバリエーションも増えドル建ての生命保険に加入している方も多いと思います。ここ数年で為替が1ドル120円→160円へ円安になりました。1ドル160円になったものの、その後円高に戻る・・・というストーリーに裏付けはなく、さらに円安にすすむのか?どうなるのかわからず、保険料が高くなってしまったので、保険を解約される方がいらっしゃいます。
円安になれば、確かに円建ての保険料は増えますが、ドルの解約金や保険金も増えますので、損しているか?といえばそうとは言えないでしょう。ですが、毎月の家計の支出が増えていく事は嫌なものですから、何のために、なぜ?ドル建て保険に加入したか?円安対策の資産分散が理解できていない方は、支払い保険料が高くなり、家計が圧迫するから・・・と、あっさりやめてしまいます。
もしも住宅ローンの返済金額が、保険のように、増えてしまったらどうでしょうか?
実際にそうなったしまった場合、「ふえたまま、返済する」というのはかなり無理があると思います。金利上昇が続き、これからも増えているかもしれないので、「もうこれ以上、上がらないで!」とお祈りするのでしょうか?ドル建ての保険と違って住宅ローンは「借金」ですので、「仕方がないな~」とこのまま返済を続けるのではなく、「繰り上げ返済」を駆使してローンを減らそうとするに違いないです。繰り上げ返済の資金がある方は良いのですが、子供の教育費や将来の老後資金のために資産運用をしている場合は、繰り上げ返済をするのは難しいでしょう。
そのような方は、日銀がマイナス金利政策をやめ、金利のある世界にもどすという決定をした以上、近いうちに住宅ローン金利が上がってしまうと想定し、可能な限り金利上昇のリスクを排除した固定金利タイプに借り換えすることを検討するべきだと思います。
住宅ローンの借り換えを上手く活用しよう
いかがでしたでしょうか。
借り換えをすることは、今後の金利上昇を排除することで、他のライフイベントのための資金(教育費・老後資金など)の準備に悪影響を与えることがなくなり、心穏やかに安心して日々の生活が送れます。
住宅ローンの固定金利は、10年固定金利で1.5%前後、20年~35年固定金利ですと1.8%です。金利の変動リスクを排除する住宅ローンの借り換えを上手く活用してみてはいかがでしょうか。