介護保険は、2000年の導入以来、
利用したサービスの費用の1割負担が原則でした。
しかし、団塊世代の高齢化で介護費用が
膨らむのを抑えるため、
改正介護保険法が昨年6月に成立しました。
今年の8月から第1号被保険者(65歳以上)のうち、
所得(収入から控除などを差し引いたもの)が
160万円以上なら原則2割負担となります。
介護保険で最も介護の必要性が高い「要介護5」の場合、
1割負担での平均的負担額は月2万1000円で、
これが2割になると4万2000円とかなり重くなります。
もう一つの大きな改正が、特別養護老人ホームや
介護老人保健施設(老健)などの施設入所に関するもので、
食費・住居費に対する補助(補足給付)の条件が厳しくなります。
例えば、妻が特養に入居し、夫と別居している場合、
住民票を特養の住所地に移すなどして世帯を分離すれば、
移した先の世帯は妻だけとなり、妻は住民税が非課税であれば、
現在は補助を受けられます。
しかしながら、
8月からは、世帯が別でも在宅の配偶者(この場合は夫)が
住民税の課税対象者なら、補助の対象外となります。
また、資産の要件が新設され、
預貯金で、単身は1000万円以下、
夫婦なら2000万円以下でないと補助を受けられなくなります。
一定条件下で補助の対象外になった場合、
年間で約70万円負担が増えるという試算もあります。
今回の改正で年間約1400億円の給付費が
削減できるそうですが、
給付費総額は、現在約10兆円が
10年後には約20兆円と倍増が見込まれており、
負担増と給付の抑制をさらに徹底することが避けられないようです。