【テレビ出演のご報告】関西テレビ「とれたてっ」で解説したシニアのお金の増やし方

先日、光栄なことに関西テレビの情報番組「とれたてっ」にファイナンシャルプランナーとして生出演させていただきました。

番組では、人生100年時代を迎えるシニア世代の皆様に向けて、大切なお金を賢く守り、増やしていくための具体的な方法について解説いたしました。生放送ということもあり、時間の関係でお伝えしきれなかった部分も含め、この記事では番組でお話しした要点を改めて分かりやすくまとめてご紹介します。

なぜ「貯金だけ」では損をするのか?キーワードは「預金寿命」

番組冒頭の街頭インタビューでも、やはり「銀行預金が一番安心」という声が多く聞かれました。長年、それが日本の常識でしたから、当然ですよね。しかし、生放送のスタジオで私がまずお伝えしたのは、「今の時代、その『常識』が逆にリスクになり得る」という、少しショッキングな事実でした。

これは物価の上昇が原因です。例えば、この10年で物価は約1割上昇しました。つまり、10年前に持っていた1000万円は、今では実質的な価値が900万円に下がってしまっているのと同じことなのです。

見た目の金額は変わらなくても、買えるモノの量が減ってしまう。この状況でただ預金を取り崩していくだけでは、思ったよりも早くお金が尽きてしまう可能性があります。

そこで重要になるのが「預金寿命」という考え方です。これは、今の預金がゼロになるまでにどれくらいの期間があるかを示す言葉です。人生100年時代を安心して過ごすためには、この「預金寿命」をいかに伸ばしていくかが大きな課題となります。

解決策は「枯れない財布」を作ること

そこで私が解決策として番組で提唱したのが、**「枯れない財布」**というキーワードです。言葉のインパクトにスタジオも沸きましたが、これはシニア世代の資産防衛において非常に重要な考え方になります。

これは、「資産の一部を運用に回し、そこから定期的に現金を引き出す仕組みを作ることで、年金だけでは足りない分を補う」という考え方です。この引き出すお金が運用益からであれば理想的ですが、仕組み上、元本の一部が払い戻される場合もあります。そのリスクについては後ほど詳しく解説します。

ただ減っていくだけの預金とは異なり、資産に働いてもらうことで、お財布の中身が枯渇するスピードを緩やかにし、「預金寿命」を延ばすことを目指すのです。

賢く活用したい「NISA制度」

では、具体的にどうやって「枯れない財布」を作るのか。そのための非常に強力なツールが、国が用意してくれているNISA制度です。

新NISAの基本:税金がかからないお得な制度

新NISAは、投資で得た利益に対して税金がかからない、国が用意した非常にお得な制度です。

通常、投資で10万円の利益が出た場合、約20%(20.315%)の税金が引かれ、手元に残るのは約8万円になってしまいます。しかし、NISA口座での取引であれば、この税金がかからないため、利益の10万円がまるまる手元に残ります。 この非課税のメリットを最大限に活用することが、効率的な資産運用の第一歩です。

「プラチナNISA」という考え方

このNISA制度を活用して「枯れない財布」を実現する、シニア世代向けの具体的な戦略が、「プラチナNISA」毎月分配型投資信託です。

一般的なNISAは、20年、30年という長期でコツコツお金を育てていく「資産形成」を目的としています。しかし、リタイア後のシニア世代にとっては「そんなに待てない、今すぐ使えるお金が欲しい」というのが本音ですよね。

そこで活用するのが「毎月分配型投資信託」です。これをNISA口座で運用することで、毎月、非課税で分配金を受け取ることが可能になります。その分配金を公的年金と合わせて生活費に充てることで、毎月の収入源を増やし、家計の管理がしやすくなるというわけです。

※毎月分配型のプラチナNISAは話題になったものの見送りとなりました。ジュニアNISAが2026年からスタートです。

投資における注意点

もちろん、NISAは投資であるため、必ずリスクが伴います。始める前に、以下の2点は必ず押さえておきましょう。

• 元本割れのリスク 運用がうまくいかず利益が出ていない時には、元本を取り崩して分配金が支払われる場合があります。その結果、投資した元のお金(元本)が減ってしまう「元本割れ」のリスクがあることを理解しておく必要があります。

• 余剰資金で行うこと 投資は、ありったけのお金を投じるものではありません。当面使う予定のない「余剰資金」で行うことが鉄則です。生活に必要な資金とは必ず分けて考えましょう。

シニアの投資で最も重要な「出口戦略」

シニア世代の方が投資を行う上で、一番のボトルネックとなるのが「認知症のリスク」です。

ご自身でネット証券などを利用している場合、IDやパスワードが分からなくなってしまうと、せっかくの資産を引き出せなくなる可能性があります。ご本人が分からなくなると、ご家族でも手続きが非常に困難になります。

このような事態を避けるためにも、「ご家族との情報共有」が非常に重要です。どの金融機関で何をしているかだけでも伝えておきましょう。また、信頼できる「ファイナンシャルプランナーのような専門家」**に相談し、いざという時に備えておく「出口戦略」をあらかじめ立てておくことを強くお勧めします。

知らないと損!お得な年金の受け取り方

投資だけでなく、公的年金の受け取り方一つでも、将来の生活は大きく変わります。その鍵となるのが「繰り下げ受給」です。

年金は原則65歳から受け取れますが、受け取り開始を最大75歳まで遅らせることで、受給額を増やすことができます。75歳まで繰り下げると、受給額は最大で84%もアップします。

仮に65歳で月14万円を受け取れる方を例に、受け取り開始年齢による月額の違いを見てみましょう。

受給開始年齢毎月の受給額(例)
60歳106,400円
65歳140,000円
70歳198,800円
75歳257,600円

もし90歳まで生きると仮定した場合、60歳から受け取り始めた場合と75歳から受け取り始めた場合では、総受給額に約800万円もの差が生まれます。

スタジオでも「何歳まで生きるかわからないのに…」という声が上がりましたが、それはもっともなご意見です。だからこそ、ご夫婦の一方、特に長生きの傾向がある女性(妻)側だけ繰り下げるといった柔軟な戦略が有効になるのです。

まとめ:生放送を終えて

今回の記事では、テレビ番組「とれたてっ」でお話ししたシニア世代のお金の増やし方について解説しました。大切なのは、「預金寿命」を意識して、ただ貯金するだけのリスクを知ること。そして、資産運用を取り入れた「枯れない財布」を作り、そのツールとして非課税制度「NISA」を賢く活用することです。さらに、認知症に備えた「出口戦略」を立て、年金の「繰り下げ受給」を検討することも、豊かな老後を送るための重要なポイントになります。

私自身、経験豊富なファイナンシャルプランナーとして活動しておりますが、生放送ならではのライブ感や、出演者の皆様とのアドリブの掛け合いは非常に楽しく、貴重な経験となりました。スタジオの温かい雰囲気の中、視聴者の皆様にお金の知識を少しでも分かりやすくお伝えできていれば、これほど嬉しいことはありません。

この記事が、皆様の豊かなセカンドライフの一助となれば幸いです。より具体的なご自身の状況に合わせたプランニングなど、個別のご相談も随時受け付けておりますので、お気軽にお声がけください。