皆さまの中には、かわいいお孫さんがいるという方もいらっしゃるのではないでしょうか?

昨今、祖父母が孫に使うお金は増加しており、2023年の調査では平均10万8134円との結果でした。おこづかいやお年玉、お祝い金などでお金をそのまま渡すケースが多いようです。そんな中、「孫にも財産を残したい」といった声を耳にすることもあります。今回は、お孫さんへの相続についてご紹介していきます。

 

祖父母が孫に相続することはできる?

例えば、相続人である息子さんや娘さんが亡くなられている場合は、その子供であるお孫さんが相続権を引き継ぐことになります。このような場合を除いて、基本的にはお孫さんが相続人となることはできません。お孫さんは「法廷相続人」でない・・・このことをしっかり理解しておきましょう。

しかし、以下のような方法をとることでお孫さんに財産を贈与することは可能です。

①遺言書に明記する②孫を養子縁組する③暦年贈与を利用する

これらには注意点もありますので、合わせてご紹介いたします。

 

遺言書にその旨を明記する

1つ目は、遺言書に明記する方法です。

遺言書に「財産の一部を孫に譲る」と明記しておけば、自分の財産をお孫さんに贈与することが可能です。例えば、「全財産のうち、孫に株式の一部を譲る」というようなイメージです。

遺言書に明記してお孫さんに相続する場合、遺言を介して財産を譲り受けることになるため、生前贈与加算の対象となります。

令和6年の1月1日より、加算される年数が増え「相続発生7年以内に受けた贈与が相続財産に加算」、つまり「贈与者の死亡前7年以内に財産を贈与された相続人がいる場合、贈与された財産を相続財産に含める」と改正されましたので、この機会に是非ご確認ください。

 

自分と孫を養子縁組にする

2つ目は、自分=祖父母と孫を養子縁組にする方法です。

養子縁組にすることにより、お孫さんは両親と親子関係を保ったまま、自分の相続人にすることが可能となります。

しかし、養子縁組にした場合、当然相続人となりますので、前述した生前贈与加算の対象となります。また、相続税法上、法定相続人に含むことができる養子の人数には制限がありますので、ご注意ください。

 

暦年贈与

3つ目は、暦年贈与をする方法です。

暦年贈与は生前贈与の一種であり、難しい手続きが必要ありません。お孫さん一人当たり、一年間で110万円以内であれば非課税となります。

暦年贈与は「あげる」側と「もらう」側の意思があって、初めて契約成立となります。例えば、贈与のために貯金をしていても、お孫さんが贈与の事実を知らなかった場合、これは暦年贈与とみなされないため、課税対象となってしまいます。

そうならない為には、贈与した日付、金額、あげた人ともらった人の署名など、必要事項が明記されている契約書を作成しておきましょう。ただし、お孫さんが未成年の場合は、お孫さんとの契約ではなく、ご両親=親権者との契約が必要になります。

 

また、毎年の贈与が税務署で定期贈与であると判断された場合、110万円以下でも課税対象となってしまいますので注意が必要です。

また生前贈与加算(7年遡りの持ち戻しの対象者は、法定相続人である子供であり、孫やお嫁さんは対象外です。もし死亡する直前に孫や介護でお世話になったお嫁さんに、贈与したとしても、亡くなった場合に、贈与がなかったものとして相続税の計算がされる心配はありませんので、相続税の節税になります。

かわいい孫へ、財産を残そう

いかがでしたでしょうか。

お孫さんに財産を残したいとお考えの方は、今回ご紹介した内容をぜひ参考にされてください。

また、相続の際には他の相続人とのトラブルにならないようにすることも大切です。

事前に何度も話し合うなど、準備と対策が肝心です。

せっかくの愛情のしるしですから、円満に残せることが理想的ですね!