理研がアジアで初めて新元素を発見
理化学研究所は、森田浩介グループディレクター(九州大学教授)らが人工的に合成した新元素が原子番号113番の元素として認定されたと発表しました。
物質のもとになる元素の発見者が日本人になるのは初めてで、アジアでも初となります。
新元素を命名する権利も認められ、今年中にも周期表に記載されます。
新元素の発見はノーベル賞に匹敵する業績であり、日本の科学史にとって画期的な成果といわれています。
これまで周期表に載っている元素は、すべて欧米の研究機関が発見して命名しています。
113番元素は、「ジャポニウム」が有力視されています。
新元素は、30番の亜鉛の原子を83番のビスマス原子に衝突させて核融合させることでつくりました。
実験に使用する加速器は、電気代だけで1日約50万円かかります。
直接の経済効果を見込めないため、研究は打ち切りの検討対象にあがり、113番元素の合成を確実にする3回目の合成に成功したのは、実験をやめる2か月前でした。
今回の成果は、「あきらめず、やり続けたこと」が勝因ですが、
直接の経済効果がないという理由で、このお金のかかる研究は、
打ち切られる寸前・・・崖っぷちだったんですね。
もしも3回目でも成功しなかったら、4回目はなかったわけで、
この新元素の発見もなかったのです。
今の世の中、あまりにも、成果主義が蔓延していませんか?
結果や答えをすぐに出さないと認められない世の中・・・
ちょっとしくじると、批判されてしまします。
「なんで、すぐに、できないのか・・・」
すぐに「儲け」や「利益」を優先すると、科学は進歩しません。
こういった研究は、それこそ、国を挙げて支援していく必要があります。
そうしないと、日本人の誇りでもある「ノーベル賞」を受賞する科学者は
いなくなってしまいます。
今後の日本の科学技術政策については、実用化という観点からだけではなく
より一層、長期的かつ幅広い視点での方向付けが必要となります。